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  • 2012.12.29 Saturday
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サンフランシスコでお散歩 その13

 久しぶりに書く。

ネットマガジンでの連載なのに、こんなに間を開けてしまっては負け戦なのだが、このサンフランシスコ日記には色々曰くがあるので、それを自分に許さざるをえないのである。

曰くとは何かというと、日記を書き始めたのがサンフランシスコ旅行から1年以上も経ってからのことであることと、既に自分のブログで、大方書きたい事は書いちゃってたので、改めてここに何を書くか、という点において、連載中自分でも意外な程戸惑ったという事でしょうかね。

でも戸惑いながらも。

楽しんでいることは確かである。

そしてこの数日、ここに何か書きたいという気持ちが、ムラムラ高まっていたことも。

 
ポテト姉妹やその友達のジャム屋やスタイリストさんらと行ったこの旅の、なんともあっけらかんとした陽気さに満ちた数日間が、最近どんよりとした現実を目の当たりにした私の心に、愛おしく蘇ってきているのである。

どんよりとした現実とは何かというと、ささやかなボランティアの場において、何につけても深刻に取り組む生真面目な人たちが、他者のあっけらかんとした自由さやこだわらなさに激しく牙を剥いて、どうでもいいような事を責めまくり挙げ句の果てには無能扱いするというような現場を見て殺伐とした気分になったという事なのだが、そんな時私の心には、サンフランシスコにまで来て憧れのレストランに行く日に、とっておきのオシャレをしていたのにも関わらず、何故か歩くとズレ落ちるストッキングを履いていたポテトが、歩く度にそれをたくし上げながらも、たいして気にする素振りも見せない、というあの、心温まる光景が、幾度となく蘇ってきていたのである。


ポテトは決して、こだわりの無い女ではない。

しかしオシャレをしているのにストッキングがズレ落ちるという現実は、決して彼女の心を蝕む事は無かった。
なんだかあっけらかんと、どうでもいいような事の様に対処していた。


恐らく私がボランティアの場で目にした生真面目な人たちが同じ立場に置かれたら、それはもう生きるか死ぬかの大問題なのであり、オシャレをしていたのにストッキングがズレ落ち、尚且つそれが長年待ちに待っていたサンフランシスコ旅行中で、大好きな素敵空間を歩いている最中となれば、それはもう恐らく、切腹に値する様な自責の念なのであり、残念無念おのれの愚かさを呪って七代地獄で焼かれようぞ、とまで思い、同行者までも道連れにして、どす黒い想念の地獄にまっしぐら、という程度が自然なぐらいなんじゃないかな、と思うのである。

深刻さというものは、私にとってはいつも敵なのである。

真剣さと深刻さというものは、全く違うものなのである。

他者の失敗を目にしたり自分が失敗した時には、深刻に受け止めるんじゃなくて、真剣に受け止めるべきだと私は思うのである。

深刻さは、自分や他者を責めさいなみ、自分や他者の存在価値への裁定にまで踏み込む。
でも真剣さは、目の前の失態にだけ目を向けて、それに真摯に対応することにより、創造的な解決策を生み出すばかりでなく、回復の余地は常にあるよ、と教えてくれるのである。

ポテトもさんざん歩きにくそうにしていたが、なんらかの創造的解決を行って、あの悲劇をこともなげに乗り越えていたではないか。

余裕を失い荒廃した心が、互いへの容赦無き残酷な刃となって、凍り付いた様な恐怖政治を構築していたあのボランティアの現場において、サンフランシスコでのポテトの明るさが度々私の心に、春風のごとく去来したのも、無理の無い事であろう。


そんなわけで、懐かしいあのサンフランシスコの旅が、久しぶりに生々しく蘇って来ている。

あの街を知り尽くした愉快な姉妹によってガイドされる様々な名所は、どこも色とりどりで美味しくていい匂いがした。

アメリカの都市の中でも、比較的陰影の深いあの街において、影の領域も愛するあの姉妹の視線は、どこまでも暖かくあっけらかんとしていたように思う。

そのぬくもりに支えられ、陰影の苦手な私もまた、その領域に私なりに深く接することが出来たとも思う。

サンフランシスコにまた行く時には、またあの連中と行きたいな。

天井の高い、曇りガラスのあのカフェで、またあの連中と、コーヒーやワッフルや卵ののっかったトーストに目を輝かせながら、今日はどこへ行くのなんのって、またがやがや話したいな、と思うのである。

 

(終)























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  • 2012.12.29 Saturday
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  • 08:39
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コメント
真剣さと深刻さというものは、全く違うものなのであるーー。
ほんとうに、まさにそのとおり。今まで考えたこともなかったけれど、ほんとうにそうだ!と腑に落ちました。
深刻はいつだって、茶番でしかないという想いにとらわれているのは、わたしだけでしょうか。
ま、茶番を茶番として笑えればいいのだけれどね。
また、一緒に愉快な旅をしたいです。
サラさん、ありがとう。
  • ポテト姉妹あね
  • 2012/12/29 11:01 PM
ポテト姉妹のお姉様、

深刻は茶番、私もまさにそう思います。

ポテトお姉さんに褒めてもらえるとなんか特別な感じで嬉しい。

素敵な機会をありがとうございました。(旅とそれについてここで書く)

また一緒に、できればサンフランシスコに行きたいです。
  • sara
  • 2012/12/30 10:22 PM
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プロフィール


大竹 サラ

漫画家兼業ミュージシャン/14人編成の無国籍風楽団パスカルズのメンバーだったり小学館の少女漫画雑誌で連載を持つ漫画家だったり、他にも色々な顔を持つ人生旅だらけの女。

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