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  • 2012.12.29 Saturday
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サンフランシスコでお散歩 その11

サンフランシスコへは長らく行っていなかったので、ファッションの感覚が掴めなかった。

私の中には、西海岸は緩い、という印象が漠然とあり、かつまた、マリン地区ののどかで開放的な雰囲気が強く心に残っていた為、のどかで開放的な服を着ていればいいのだ、という結論になった。

のどかで開放的な服とは何か。
それはパジャマである。

いやほんと。

私は、パジャマではないけれど、限りなくパジャマのレベルに近い装いであれば、サンフランシスコにフィットする、と思い込んだのである。

これはある種の心の防衛でもある。
私は忙しかったのだ。
アメリカにある学校に入学した為に、1ヶ月おきくらいに渡米しなきゃならず、ポテト達と行ったサンフランシスコ旅のあの2月は、1月に渡米したばかりの2月であり、かつまた、3月に渡米しなきゃならない2月でもあった。

フライト・アテンダントでも無いのにこの頻度で渡米を繰り返すと、人間は疲労する。
その疲労のせいで、私には、ばっちりキメる情熱も気力も残っていなかった。
ばっちりキメなければならないなら、私はサンフランシスコへは行けない、と思った。
でもパジャマでなら行ける。
きっとパジャマでも大丈夫。
パジャマは多分あの街に似合う。
いやむしろ、パジャマ向きの街だと言ってもいい。
パジャマこそが、サンフランシスコの正装なのでは。
そうか、そうだったのか。

というわけで私は、堂々とパジャマ(の様な普段着)を着て、サンフランシスコ空港に降り立ったのである。
空港に降り立って、予約しておいたスーパーシャトルへ乗って、ポテト達と待ち合わせしていたホテルへと向かった。
その頃までは、全然パジャマで良かった。

ホテルに着いて、自分の部屋に荷物を置いて、ポテト達をロビーで待った。
その時にも、全然パジャマで良かった。

しかしポテト達と会った時、私は自分の脳内で、何かがちょびっと崩壊する兆しを覚えた。

ポテト達が、パジャマを着ていなかったのである。
てっきり4人とも、それぞれお気に入りのパジャマを着て、ホテルに現れると信じていたのに。
何故か彼らは、パジャマではなかった。
彼らはむしろ、キメていた。
いわゆる、おしゃれってやつ?
ポテトなんて、ワンピースだし。

それでも私は、負けなかった。
どんなに4人がオシャレしていても、正しいのは私、という確信があった。
だって、ここは西海岸だぜ。
しかも浮浪者だらけの街、サンフランシスコ。
そこにはやっぱり、パジャマでしょ。

それはある意味、的を得ていた。
私の方向に近い服装でうろつくおじさん達は、街にいっぱいいた。
でも、ポテト達の方向に近い服装で歩くおねえさん達も、結構いた。

私は少しずつ、自分が間違えている様な気もしてきた。
私の方向に近い服装でうろつくおじさん達の方が、限りなくジモッてぃーな感じはもちろんしたよ?
地面で寝てたりして、すごーくリラックスしていた。
もう、サンフランシスコに、体全体で馴染んでるって感じ?
そんな、サンフランシスコの申し子みたいなおじさん達と近い服装で歩く私こそ、よりサンフランシスコに、フィットしてるんじゃない?
でも、何かが。

なにかが違う気がする。

徐々に自分を疑い始めた私に、ポテトが告げたひとことは大きかった。
その日私達は、あの、みんなの憧れシェパニーズで、ディナーを食べる予定だったのである。だからワンピース着てるのよ、と、こともなげにパジャマの私にポテトは言い放った。

がーーーーん。
という音が頭の中に鳴り響いて、ようやく脳内麻薬の世界から足を洗った私。

パジャマじゃいかん。
パジャマの上から、玄関先のゴミ袋の中に入っていた、大中で買った700円の綿入れを羽織っているその姿で、シェパニーズへ行ってはいかん。その綿入れは、捨てる予定でいたのだが、家を出る時、ひょっとしたらサンフランシスコは寒いかも、と思って急遽ゴミ袋から引っぱり出して着て来た物なのである。

もしや私は、最低なのでわ。(観光客として)

しかしもう、全然後の祭りであった。

自分が最低である事に気付いた頃には、既にシェパニーズは目と鼻の先にあった。

だから私はそのまま、シェパニーズへ行った。

あの、みんなの憧れ、シェパニーズへ。

幸いにして、その日はカフェの方の利用と決めていた為、ドレス・コードは無いに等しく事無きを得たが、食事が終わった去り際に、通りかかったレストランの窓から見えた光景に、パジャマの私は震え上がった。

髪を結い上げた完璧メイクの女性が、レッドカーペットを歩く女優が着ているような光沢のある上品なグレーのドレスと、百カラットくらいあるかと思われる輝くネックレスをまとった姿で、優雅にお食事をされていたのだから!

翌日私は、ポテトの友人でスタイリストであるH女史の厳しい指導の元、サンフランシスコ滞在最終日に行く予定になっていたシェパニーズ・レストランの為のちゃんとしたお洋服を、ダウンタウンのブティックで揃えたのである。

もう、本当に反省して。

   
    中華街にあった本物の馬を使ったメリーゴーランド

(続く)























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  • 2012.12.29 Saturday
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  • 00:56
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プロフィール


大竹 サラ

漫画家兼業ミュージシャン/14人編成の無国籍風楽団パスカルズのメンバーだったり小学館の少女漫画雑誌で連載を持つ漫画家だったり、他にも色々な顔を持つ人生旅だらけの女。

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